サンゴの養殖が国土を守る!

ご存知、日本最南端の沖ノ鳥島は、東京の南約1700キロにあり、サンゴ礁で出来ていますが、強い波のため侵食が進んでいます。(東京都小笠原村沖ノ鳥島)

「東小島」「北小島」の二つは満潮時には高さが20cmに満たないのです。地球温暖化で世界の平均水位は21世紀末までに59cm上昇すると予測されており、沖ノ鳥島の水没する危機が高まっています。

この島を救う切り札として、政府は昨年からサンゴの増養殖に取り組んでいて、南北1.7キロ、東西4.5キロの環礁の周囲に「サンゴの防波堤」を築き荒波による侵食を防ごうと計画してます。

 

この6月9日に素焼きの着床具に付いた6個の稚サンゴが、ダイバーの手によってそっと沈められました。稚サンゴの体長は約1cmで、生まれは沖ノ鳥島で育ちは沖縄のものです。このような地味な作業をコツコツと続けてサンゴの防波堤を作ろうと言う壮大な計画なのです。

 

沖ノ鳥島で生まれたサンゴの卵は強い波で流されてしまい、自然には増えないのです。そこで自然の生態系を壊さないように沖ノ鳥島で生まれたサンゴの卵を、約1000キロも離れた沖縄に運び込んで養殖をしているのです。

サンゴは環境の変化に弱いデリケートな動物で、運搬にも大変苦労し、当初の昨年5月の船での運搬では、2日間で7割のサンゴが白化して死んでしまいましたが、サンゴの採取時に人の温度が伝わらないように手袋をしたり、航海中も海水をくみ上げて水槽の水を取り替えたりと、いろいろと改良して昨年8月には生存率は8割に上がりました。

 

沖の鳥島に養殖サンゴを戻したのは今回が初めてですが、第二陣は今月6月下旬に予定しています。わずか1cmの稚サンゴが波の強い沖ノ鳥島で海底に定着し順調に育つかどうか、実際の効果が現れるのは何年も先になります。

また、死んで砕けたサンゴの石灰質を堆積(たいせき)させるためには、波から守る遮蔽物を設置する必要も言われてます。

 

とにかく今は、南の小島と日本の領土と排他的経済水域を守れるかどうか、この小さなサンゴにかかっているのです!

頑張れ!サンゴ!

(読売新聞2007年6月14日環境ルネッサンスより抜粋)

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